第6回 「ピンチはチャンス、トラブルは先生」
「なぜ、会社をおこしたのですか?」とよく聞かれます。
結婚して専業主婦を8年経験した後、離婚を機に就職活動をしたのですが、職歴といってもスチュワーデスとしての経験しかありませんでしたし、その当時30歳を過ぎた女性を雇ってくれる会社はありませんでした。
当時は派遣業も派遣法もなく、仕事をしたいという女性はたくさんいるのに、仕事に就けない状況でした。「じゃ、社会と女性の橋渡しをしよう」と会社を作ったのです。
それに、私は日本航空のスチュワーデス養成校を人の1.5倍かかってようやく卒業した落ちこぼれだったので、本当に一生懸命に勉強しました。そこで学んだビジネス・マナーを一般企業向けに活かせないかと考えて、人材派遣と企業研修の2本柱で会社をスタートさせたのです。
今から思うと当時の私は本当に何も知りませんでした。でも、だからこそ怖いもの知らずで会社を起こすことができたのだと思います。
経験や知識、情報はたくさんあった方が有利かもしれないけれど、それだけ自分の行動を狭めてしまう気もします。頭で考えすぎて「失敗したら、どうしよう」って。私にしたって今の経験値や情報をもっていたら、怖くて会社を起こそうなんて思わなかったかもしれません。
だから今、思っているのは何だってやってみよう、ことに当たったらフレキシブルに対応しようということです。計画をたてて実行することも重要だけど、計画通りにはいかないと考える柔軟性も必要です。大きな視野と綿密な計画性は違うと思うのです。
思いがけない良い話が舞い込んでくることもあれば、予期せぬトラブルに頭を抱えることもあります。けれども、私は幸運の女神はピンチの仮面をつけてやってくるものだと思います。トラブルに対応するとき、人はあるだけの知恵を絞り、できる限りのことをするでしょう。机の上でどんなに学ぶよりも、いろんなことを自ら学び、身につけていくことができるのです。
「あの人には、まだ無理」「私は未熟だから・・・」そう思うよりも、実際に何でも経験させること、経験することです。失敗もするでしょう。けれど、失敗したことは一番記憶に残ることですし、それが経験となって生かされていくのです。
失敗は大いに結構。恐れずにどんどん失敗することです。失敗を恐れていては、いつまでたっても何も始めることも、成長することもできません。ピンチはチャンス、トラブルは最高の先生そう思って、まず行動することです。